平成19年度 実践系総評

本年度から「実践研究部門」として、従来の博物館学芸員及び図書館司書に加え、今日的な新しい社会課題を抱える福祉分野等の現場の専門的立場にある者も助成対象となった。その応募テーマは多様で、かつ現場に即した新規性、独創性を感じさせる意欲的な研究計画がいくつか見られた。

しかしながら、研究計画書を審査しながら疑問な点などが少なからずあり、今後のために留意した方が良いと思われることを以下に挙げておきたい。

第一に、「研究」そのものの捉え方や研究の方法、研究のプロセス等が具体性を欠いている問題が挙げられる。つまり、特定の具体的な理論的、実践的課題の解決のための知的営みというよりも、自己研鑽的、知識拡大的なもの、グループの学習プロジェクトを「研究」ととらえているケースがみられ、これは学問的研究とは言い難いし、その研究の方法、手法、プロセス等が研究計画に具体的に明示されていないケースが少なからずみられた。こうしたことに十分に留意する必要がある。

第二に、教材開発や学習プログラムの開発、指導法の研究開発など「開発」にかかわるテーマが数多くみられたが、必ずしも独創性、新規性に富んでいるとは思われなかったり、その研究成果をどのように活かすのか、しかもそれは汎用性を有するのかが見えにくい。さらに開発に関しては評価の方法をどうするのか明示されていないことも課題のように思われた。これらのことが良く分かるように説明する必要がある。

第三に、研究計画に博物館・図書館の学芸員・司書も含めて実践現場とは必ずしも結びつきがない学術研究に類するものがみられたが、それらは一般科学研究へ応募すべきものと考える。申請にあたって、区分をよく検討する必要がある。

第四に、支出計画に問題がある申請書がかなりみられたので、今後綿密にしかも合理性のある計画を立案するように留意して欲しい。研究計画全体のなかで、支出経費が海外を含む旅費、印刷費、人件費(研究協力者を共同研究者と考えている申請者もある)などが殆んどで、オリジナル研究費が極めて乏しいものがみられた。今後、この点をふまえて合理的な支出計画を作成する必要がある。

第五に、研究計画・支出計画には、当該組織の本来の業務と思われるものがみられた。また、研究内容も自組織には必要で有益であっても、関係分野の活動に広く資するとは考えにくいとか、普及に結びつかないと思われるものもあるので、今後、計画の際に留意する必要がある。

実践系選考委員会委員長

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