平成21年度 海洋・船舶科学系総評

マスコミは、昨年、オワンクラゲの発光物質を研究し、ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏を海洋生物学者と言っていました。本募集要項には、研究成果が海洋に直結するか否かで判断し、生物系では海洋の生物そのものを対象とする生物学は「一般科学研究」、生物海洋学・海洋生態学などが「海洋・船舶科学研究」とあります。下村博士の研究のような課題名で応募した場合、門前払いはせずに、研究目的と期待される成果が海洋の科学の進展に寄与するかどうかで採否の判断がされます。海底の岩石の研究についても同様です。

他人がやってこなかったことを研究するのが研究であり、海洋には無数の研究課題がありますので、申請された研究課題全体に一定傾向がないのは、ある意味で当然と言えます。ただ、海洋水の酸性化とか、サンゴの問題とか、巷間で話題となった課題をテーマとして取り込んだ研究も散見されます。それ自体は悪いことでもなく、有利になることでもありませんが、十分に咀嚼しているかどうかが採否の鍵となります。

一方で、1つの研究室から集中して多数の研究を申請した例がいくつかあります。個人単位の申請ですから、その当人が、単に研究室の歯車ではなく、十分に問題意識を持っており、研究室のポテンシャルを利用しただけと判定されれば、採択されます。逆に、学会では活発な研究活動が報告されているのに、本研究助成を申請しない研究室があるのは淋しく思います。

船舶科学系については、船舶そのものに関するものが比較的多く、船舶をとりまく自然環境(波浪、潮流など)が少なかったのですが、こういった一次データの取得・解析・蓄積も重要です。

人文・社会科学関係については、政策形成過程や法制度問題などの人文・社会科学関係らしいユニークな研究申請がまだ出てきていないのが残念です。

文部科学省や日本学術振興会の研究助成を申請できる立場にいる者、研究費付きの研究員のポストにいる者からの申請には、心情的に優先順位を下げざるを得ません。そのような者は、研究費を得難い状況であることも書いて欲しいと思います。

海洋・船舶科学系選考委員会委員長

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