平成21年度 実践系総評

日本科学協会研究助成対象に「実践研究部門」が設けられて以来、平成21年度は3年目になります。前年度より申請件数が若干ながら増加しましたが、博物館・図書館等の生涯学習関連分野は科学研究費による助成が可能になったためか、申請件数の減少が目立ちました。しかし研究のとらえ方や研究方法等を含む研究計画書については、徐々に適切に作成されるようになってきていることが認められます。今年度は多様化・複雑化する社会の中で生起する新しい課題に果敢にチャレンジする研究を推奨する本助成の趣旨から、対象をNPO分野にも広げたこともあり、以前よりも全体として研究課題が多様化した点が特長的です。今後さらに積極的に本実践研究部門への申請を奨励する観点から、今年度申請書評価をふまえ、さらに留意して欲しい点を以下に列挙し、今後の参考に供したいと思います。

  1. 先に述べたように全体として研究計画書の作成は向上していますが、研究課題が複雑で何を重点的に研究しようとするのかが見えないものも少なからずありました。研究内容の焦点化、精査になお一段の工夫を望みます。
  2. 昨年度よりも本実践研究の趣旨が申請者に理解されてきたことは認められますが、まだ決して十分とはいえません。本研究部門の申請に当たっては、実践現場から生れる研究の発想を重視していること、その現場における実践に根ざした研究が重要であることを理解して研究計画を作成してください。それは研究実施者の現場であり、研究のためだけの現場ではないことを理解していただきたいと思います。
  3. 実践研究の質的レベルアップを期す為には、現場での実践基盤と併せてしっかりした理論構築の確立が必要です。そのために大学や専門研究機関等の研究者と実践研究を協働することは必要であり、有益です。
  4. 同一研究機関等からの複数の申請に当たっては、可能なら実践研究に相応しいもので相互に違いが明確な計画であって欲しいと思います。また、過去に本部門の助成を受けた場合でも申請する場合に、その発展性などが見える研究計画であることが望まれます。
  5. 研究が現場を通して広く当該分野の向上発展に貢献することが明確なものが望まれます。
    また、現場などで研究成果が活かされるのかどうか、研究計画書に明記して欲しいと思います。
  6. 研究計画、支出計画を見る限り、当該組織・機関の業務運営、管理運営改善とみなされるものが目に付きますが、助成の趣旨をあらためて確認する必要があります。また、海外旅費や図書購入費等の確保に主眼があるのではないかと思われるものや、研究内容と合致しない支出計画が見られるので、注意が必要です。

実践系選考委員会委員長

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