平成22年度 数物・工学系総評

  1. 全体の印象:
    1. 分野再編が物理系から数物・工学系と名称変更して3年目に入るのですが、全般的に流行を追うのではなく、レベルも高い基礎的な研究申請が多くなってきました。宇宙論の根本問題、新材料の開発、バイオメカニズムの基礎と応用研究などが目につきました。また留学生が総じて発表論文も多く、申請の内容の判断がつきやすいと思われました。しかし中には安易なテーマで応募するものもいますが、他の留学生に迷惑をかける結果になります。
    2. 同一機関、同一研究室からの多数の応募も減ってきましたのも、申請者個人の力量を判断するという趣旨が、徹底してきたためでしょう。申請者がグループないしプロジェクト研究で大きなテーマの一部を担う場合、全体の研究の概要、申請者の研究の位置づけ、研究内容、成果の効果などを明確に記載してください。研究指導者の適切なアドバイスと本人の意欲も、評価の上で参考になります。これも例年見られることですが、研究指導者と申請者本人との仕事の区別がつかないものも、見受けられますのでご注意願います。
    3. 自分の研究のキーワードとなる用語については、特殊であればあるほど十分簡潔に説明してください。申請書中の専門用語でいきなりアルファベットの略号でしか書かないケースが見られますが、略号の元の英語表記を、初出の箇所にきちんと書いてください。
    4. 指導の先生方へのお願いですが、推薦書は本人の力量がわかる書き方でお願いします。審査過程の重要な判断参考になるものです。テーマの宣伝に終始して候補者への言及がないものもありました。なかには本人に書かせたものとしか思えないものも見受けられますが、これなどは論外です。
  2. 研究経費について:
    1. 単なる図書・コンピュータ・装置購入のたぐいは減る傾向にありますが、アルバイト謝金・検査依頼や講師謝礼・論文投稿費・英文校閲費などに研究費の大半を宛てるなどというものもありました。申請額の上限は100万円ですが、研究上それらが真に必要なものか十分検討してほしい問題であります。高度なシミュレーション解析や複雑な実験が増え、それだけに高額な備品項目を申請する場合も見られますが、それが研究計画とどう関連するのか、明記することが必要です。
    2. 海外発表、打ち合わせ目的の海外渡航費などの申請も増えていますが、研究遂行との関連が希薄なものが見られます。審査委員会としては、助成金額の総額に制約があり1年単位でもあることから、研究そのものの助成を主とし、内外旅費等はあくまでも従とする立場です。
      なお本会には、成果が得られた本助成金研究者に対して、後年度に、海外発表旅費を助成する制度もあることを念頭に置いてください。
  3. 数物・工学系選考委員会委員長

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