平成22年度 複合系総評

複合系の特徴は、研究分野が多岐にわたることです。審査に当たっては、特定の研究分野に偏らないように配慮するため、ある研究分野でレベルの高い研究計画がいくつも申請された場合、全部を採択することは難しく、採択されなかった研究でも、必ずしも研究計画のレベルが低いからではないことがある点をご了承いただきたいと思います。

以下に、複合系の内部を分類して総評を行います。

  1. 生物関連

    野外調査、特に海外調査の場合、輸送費や消耗費が高額になり、学生や若手研究者の研究遂行の障害になっているケースが見受けられ、研究計画のしっかりしたものはできるだけ支援するようにしました。

    逆に、以下のような研究計画は評価できませんでした。

    1. 研究目的がはっきりしないもの。
    2. 特定の分野のみで使われる専門用語が多く、研究計画が理解できないもの。
    3. 2年間の継続計画では、初年度の成果が書かれていないもの。
  2. 化学関連

    本助成は、申請者が主体的に研究することが前提です。学部4年生の申請には、研究遂行能力が心許ないものが見受けられました。

    バイオケミカル・テクノロジーに関わる研究申請の数が多く、この分野は競争が激しくならざるを得ませんでした。

    1つの研究室から多数の応募がありましたが、申請書の内容は真摯で、推薦書も丁寧に書かれていました。すべての申請研究が採択されるわけではありませんが、「研究費を獲得する訓練のための申請」という意味もあると思いました。

  3. 看護関連

    興味深い研究計画の中には、既に3年以内に本会あるいは他より助成を受けているものがありました。今回はそのような研究より、これまで一度も助成金を受けていないものを最優先としました。採用されなかった研究でも、この後の研究結果が楽しみです。

  4. 人間科学関連

    一昨年、昨年に比べて、研究計画が深くなったと思います。人間科学周辺の分野が育っている様子がうかがえました。

    学会賞などを受賞している研究は、オリジナリティーがあっても、必ずしも本会が目指している「他では認められにくい複合的な課題」、「現場からの問題意識をもった課題」と合わないものがあります。後者の評価を高くしましたが、そのような課題に限って、旅費申請が目的であるかのような申請が多く、残念でした。

  5. 地球科学関連

    今回は特にユニークな課題が見られず、研究活動全般に活気が見られない感じがしました。おそらく、現在の社会情勢を反映したものと思われますが、このような時こそ、将来の日本を担う研究活動に活力がほしいと思います。

    古生物分野では、既に採集されて博物館に収蔵されている大型動物の化石を基にして、その動物の生息時代の環境や分類上の位置を確かめるような従来型の研究が多く見られました。

    地学の研究分野では、地道な野外観察と採取した資料の顕微鏡観察、化学分析、同位体年代測定など、多面的・総合的な考察を望みたいと思います。

    なお、従来型の研究に新しい観点を付加した研究としては、

    (1)過去の地層中の宇宙塵と微化石等の情報を合わせて地史を調べる研究
    (2)航空写真と人工衛星画像を合わせて、地形や植生などの広い領域の環境変化を調べる研究

    などがありました。

    留意点として、単年度でできる範囲のもので、準備研究がなされている研究計画を評価しました。

  6. 教育・生活関連

    学校教育に関わる研究としては、

    1. 新しい評価方法の作成
    2. 理学的な研究成果を基にした教材開発
    3. アフリカ諸国における学校建設と障害児教育の実態分析

    などが見られました。

    生活と環境に関わる研究としては、日常生活の中でよく目にする問題を研究テーマとして、一般社会に受け入れやすいものがありました。

  7. 工学関連

    「こういう発想で研究が成立するのか」という意外性のある研究を評価しました。

複合系選考委員会委員長

人材の育成Research promotion

logo

本会の主な事業は、ボートレースの交付金による日本財団の助成金を受けて実施しております。