平成23年度 生物系総評

本年度もきわめて意欲的な応募が多く、それらを精査して順位を付けるのは大変でした。とくに、現在の研究動向を反映して、幹細胞、脳、生活習慣病、獣医学領域の応用研究などの申請が多数見られました。また、新しいモデル生物を用いた研究など、萌芽的研究の中にも将来的には興味深い研究に発展する可能性をもったものがあり、それらは高い評価を受けました。さらに、自然生態系で得られた生物多様性の分析結果を、人の手が加わった自然生態系や人為的生態系に適用して、その生態系の維持・管理を考えようとするユニークな研究計画が複数あり、好感が持たれました。一方、既に相当な成果を上げているグループからの申請には、その枠内でより詳細な解析を行うとするテーマもあり、それらが本助成の方針である「他からの助成が受けがたい研究」や「新しい知の創造」に合致している場合には高い評価を受けるが、枠内に収まってしまう場合には必ずしもよい評価を受けません。同様に、予め結果の予想される研究よりは、少し冒険的でも、個性的で新しい発想やアプローチにあふれているプロジェクトが高い評価を得ます。以下に、審査に当たって気づいた点を列挙します。

  1. 上にも述べたように、指導者のテーマを忠実に研究しようとしていて、申請者自身の考え方が見えにくい研究計画があり、評価を下げざるを得ませんでした。
  2. 研究計画と指導者の推薦書がほとんど同じである申請書も散見され、本当に指導者自身が書いているか、分かりにくい例がありました。
  3. 誤字が多かったり、例えば申請時の学年と23年4月からの学年が同じであったりする不注意が目立つ計画書は、例え内容が優れていても、評価を下げざるを得ませんでした。提出前に再度チェックする習慣を身につけていただきたいと思います。
  4. 支出計画があまりに大雑把であるなど、注意を要するものがたまに目につきました。関連して、高度通信機器を利用した生態研究の応募が多数ありましたが、その大部分で研究計画の内容に新規性が見られませんでした。
  5. 「中核的専門分野」は必須ではありませんが、審査の時に参考になるので、できるだけ記入することが望まれます。
  6. 自分の専門領域の人にしか理解できない表現で研究計画書が書かれているために、内容が十分に理解されず、高い評価を得られない申請がありました。研究の背景、現状、これから目指す内容を、平易に、かつ正確に表現することが望まれます。
  7. 「応募動機」の欄に、「研究目的」や「研究の特色」と同じ内容を書いている申請者がかなりの割合で見受けられます。この欄は、本研究助成の主旨を十分に理解しているかどうかを判定するためにきわめて重要であることを、応募されるときに認識して頂きたいと思います。

生物系選考委員会委員長

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