平成23年度 海洋・船舶科学系総評

応募課題名を見てもある程度わかりますが、平成23年度の海洋・船舶科学系の申請書の内容は格段に向上し、独創性に溢れたものがいくつも見られました。その一因は、今年度応募者数が約30 %増えたことにあると思います。ただ、多少心配なのは、大学院を終わった者や過年度採択者の割合が上がっていることです。優秀な大学院生の増加はこの分野の発展にとって欠かせません。

海洋・船舶科学研究への申請が一般科学研究への申請と異なる点は、出そうと思えば、一般科学研究への申請に変えることもできることです。従って、海洋・船舶科学研究へ申請する者は、その研究が採択された場合、自身の学問的興味を満足させるだけでなく、他の海洋・船舶科学研究者にも役立ち、この分野の学問の発展につながることが重要です。今年度の申請の中には、材料は海からの物を使うが、目的は海洋の科学の進展に役立つとは思えないものがありました。

今年度も地球環境問題に関連づけた研究が多くありました。これは、現在最も重要な課題であり、それはそれでよいと思われます。問題は、本人が考えたというよりは、その研究室で行われてきた研究の継続であったり、指導教員が仕向けたように見える研究だったりする点があることです。これは善意に解釈すれば、指導教員やその研究室の研究資金が逼迫してきており、この助成を得たいということでしょう。しかし、できれば、本人自らが仮説を立て、その確証を得るためにこれこれのことをするという計画を書いてほしいと思います。その際、研究室で計算機の相手をするだけでなく、海に出て、見て、感じて、考えて下さい。

近年、生物系の割合が増加し、海洋・船舶科学の半分を占めるようになってきました。海洋・船舶科学の研究が等しく発展するためにはこれでいいのかという心配はありますが、助成課題の採択や配分に当たっては、この点は一切考慮しませんでした。一方、人文・社会科学関係は一昨年度から、12件、6件、5件と漸減しています。日本の大学等でその学問が行われているのなら、公募要領の記載に当たって工夫する程度で済むかもしれませんが、そうでなければ、海国日本のあり方から問題にしなければならなくなります。これは、単に人文・社会科学関係だけでなく、日本の海洋科学全体についても言えます。

また、申請金額100万円の上限に近い申請がほとんどです。確かに研究費をもっとほしいという者が大部分であり、多数の希望者がいます。一方で、あまりに少ない金額では責任を持ってその研究を遂行できないということもあるでしょう。そこで、採択課題については、最低助成金額を50万円とし、内容によって、本人の申請金額を上限として助成金額を増やしました。従って、助成金額が申請者の研究に対する評価とも言えます。なお、その評価には、現在どのようなポストに就いているか、特に伸ばすべき学年の大学院生か等も考慮しています。

海洋・船舶科学系選考委員会委員長

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