平成24年度 数物・工学系総評

  1. 全体の印象:
    1. 分野再編で物理系から数物・工学系と名称変更して5年目に入るのですが、全般的に流行を追うのではなく、レベルも高い基礎的な研究申請が多くなってきました。多元素材料や有機体半導体などの新材料の開発、工業用細胞の開発など、バイオメカニズムの基礎と応用研究などが目につきました。物性関係で新しい基礎的問題に意欲的に取り組む好研究も目につきました。ユニークなものに、火口湖の濃度測定に音速を使うアイデアも面白く思えました。若いうちからチャレンジングなテーマに挑戦することが大切です。また留学生が総じて発表論文も多く、申請の内容の判断がつきやすいと思われました。
    2. 同一機関、同一研究室からの多数の応募も減ってきましたのも、申請者個人の力量を判断するという趣旨が、徹底してきたためでしょう。相変わらず、プロジェクト研究そのものを申請するものも見られますが、本助成は、プロジェクト研究ではなく、研究者個人に出すものです。申請者がグループないしプロジェクト研究で大きなテーマの一部を担う場合、全体の研究の概要、申請者の研究の位置づけ、研究内容、成果の効果などを明確に記載してください。研究指導者の適切なアドバイスと本人の意欲も、評価の上で参考になります。
    3. 自分の研究のキーワードとなる用語については、特殊であればあるほど十分簡潔に説明してください。申請書中の専門用語でいきなりアルファベットの略号でしか書かないケースが見られますが、略号の元の英語表記を、初出の箇所にきちんと書いてください。
    4. 指導の先生方へのお願いですが、推薦書は本人の力量がわかる書き方でお願いします。審査過程の重要な判断参考になるものです。テーマの宣伝に終始して候補者への言及がないものもありました。なかには本人に書かせたものとしか思えないものも見受けられますが、これなどは論外です。
  2. 研究経費について:
    1. 研究予算の記述が雑なものが目につきます。研究計画と予算との整合性も採否の重要な判断材料です。単なる図書・コンピュータ・装置購入のたぐいは減る傾向にありますが、アルバイト謝金・検査依頼や講師謝礼・論文投稿費・英文校閲費などに研究費の大半を宛てるなどというものもありました。申請額の上限は100万円ですが、研究上それらが真に必要なものか十分検討してほしい問題であります。高額な備品項目を申請する場合も見られますが、それが申請者の研究計画とどう関連するのか、明記することが必要です。
    2. 海外発表、打ち合わせ目的の海外渡航費などの申請も増えていますが、研究遂行との関連が希薄なものが見られます。審査委員会としては、助成金額の総額に制約があり1年単位でもあることから、研究そのものの助成を主とし、内外旅費等はあくまでも従とする立場です。国内外の旅費に研究費の半分以上を充てるというのも、本助成の意図とは異なります。
      なお本会には、成果が得られた本助成金研究者に対して、後年度に、海外発表旅費を助成する制度もあることを念頭に置いてください。
  3. 数物・工学系選考委員会委員長

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