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採択情報・選考総評

平成29年度化学系総評

化学系選考委員会委員長

 かつては物理化学・無機化学・有機化学と分類されていた化学の領域が昨今次第に入り組んで、さらに生化学の目覚しい拡張、環境化学や計算化学などの台頭もからんで、化学系の助成申請のトレンドを整然と分野毎に表示することが難しくなってきています。ここでは、化学系の申請全体を大雑把に[物理化学・無機化学系]と[有機化学・高分子化学・生化学系]でくくって、本年度の応募の傾向を俯瞰します。

 物理化学・無機化学系については、金属ナノクラスター、ナノシート、ナノコンポジットなど新しい素材・形態を、センサー、光触媒、人工光合成、電池や水素吸蔵材料などに活用する、先進研究が目をひきました。一方では、重元素の基礎的な性質、化学反応機構や機構解明のための物性計測、N-複素環カルベン配位子やイリジウム種を利用する触媒反応、化学分析法の提案、化学工学に基づく実験装置の構築、地球及び環境科学分野など、やや陽の当たりにくい分野の地味な基礎的研究テーマが少し増え、二極化が進んでいるとの印象をもちました。

 有機化学・高分子化学・生化学系のうち、有機合成化学、天然物化学、薬化学分野における申請テーマは例年とほぼ変わりませんが、中では、新奇な不斉合成法の開発や複雑な天然物の全合成、目的化合物の生物活性に関する構造‐活性相関の解明、それに基づくケミカルバイオロジーへの展開(疾病の診断や治療への応用研究)などの研究が増加しています。環境・省エネ・省元素を意識した新奇な反応の開発をめざした研究では、長波長領域での光化学反応や重金属触媒を用いないユビキタス元素による反応などがあり、生物の営みや自然界の物質変化から発想して人工物の変化に拡張しようとの申請も複数ありました。

 高分子化学の分野では、カプセルやベシクル、ミセルなどを含む微粒子関係の申請が増え、新奇ヒドロゲルの調製とそれらの刺激応答性や生体機能代替に関する研究も増加傾向にあります。さらに、核酸の機能制御や人工核酸の創製、タンパク質のアセンブリングによる機能開発など、生体高分子を対象とする研究は最近とみに深さを増しているように思えます。

 大きな研究室からの申請には、研究室の現行テーマの延長およびその分担と見られるものがあります。それらの申請からは、若い研究者の個性と意欲が見えにくいことがあり残念に思います。どの分野であるにせよ、既定路線の延長ではなく,少し飛び地を探索する研究が増えることを期待し、先生方には、若い研究者をそのようにご指導いただくようにお願い申し上げます。

 申請書のフォーマットのページ数を増やしたり、文字を極端に小さくしたりして、自分の主張を長々と展開する申請者が増えています。決められたフォーマットに合わせて主張を伝えることも研究者の素養の一つです。申請書を仕上げた後、丁寧に見直して、誤字・脱字、変換ミスがあれば、正すことも忘れないでください。

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