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採択情報・選考総評

平成29年度実践系総評

実践系選考委員会委員長

平成29年度の実践系研究計画の選考結果を踏まえ、次年度の申請の際に参考にしていただきたい点について述べておきたいと思います。
昨年同様、平成29年度の実践研究部門は、実践研究A(学校、NPOなどに所属している方が社会的諸問題の解決に向けて行う実践研究)と実践研究B(博物館学芸員・図書館司書等が単年度で調査・研究)に分けて募集しました。平成25年度から、最長3年まで継続可能な研究が進められてきましたが、助成金額総額の増額がなかった理由により、この数年、新規申請者には厳しい採択状況になっていました。しかし、平成28年度から実践系研究助成では1年間の研究期間に戻されましたので、これまでより多くの申請者に助成できるようになりました。
研究助成の趣旨をよく理解した上で申請している計画書が見られた一方で、依然として課題設定、研究の内容や方法等において十分に吟味されていないと思われる計画や、学術研究と思われる申請も多数ありました。どのように研究を進め、いかなる成果を出そうとしているのかが分かるように研究計画書を作成していただきたいと思います。そうした観点から、幾つかの点について下記に指摘しておきますので、参考にしてください。

本年度の特徴

本年度の申請内容のテーマを概観しますと、時代の進展とともに多くの社会的課題が浮かびあがってくるのがよくわかります。「教育」、「教材開発」、「自然環境の保護」、「社会福祉」、「医療」、「地域づくり」、「文化財の保存」など、私たちを取り巻く生活環境や社会には、様々な課題が内在しています。こうした諸課題を実践の場で解決しようと申請者たちの意欲が伝わってきます。ICTを活用した新たなサービスツールの開発や発達障害に関わる支援の手法を開発する研究も多く申請されました。今後とも複雑な社会課題に実践を通じて向き合う中で問題解決を行う研究の申請をお待ちしております。

研究助成の趣旨にあっているかどうか

「実践研究部門」は、現代社会の第一線でそれぞれの専門性とフィールドを活かしながら、複雑な社会課題に向き合い問題解決型の研究に対して助成をしていくことに特徴があります。
しかし、中にはその趣旨に必ずしも合致していない研究計画も見受けられました。実践研究Aの対象としているNPO法人等はその組織そのものが何らかの社会課題の解決を目指す組織ですが、組織運営やその組織の本来業務の遂行のために助成するのではありません。本研究助成では、フィールドでの実践の中での課題解決を重視していますが、「実践の場」として記載された組織での実践とは必ずしも関係していない研究計画もありました。また学校現場であれば、日々の教育実践との相互作用を期待しています。

研究の独自性はどの辺にあるか

「実践」をどのように捉えるのかという大前提の課題もあるかと思いますが、実践に根ざした研究が明確に計画段階で示されていない申請書も見受けられました。特に、教育研究分野では理論と実践の往還が進んでいることもあり、学術研究との差別化が難しい点もあり得ると思います。この点は今後の重要な課題であると思われますが、研究助成の趣旨にあっているか、今一度確認した上で申請することは必要でしょう。
研究計画書は誠実に書かれているものも多く、大変好ましい感がありました。最終目的としては大きく、結果が出しにくいと思われるものもありましたが、基礎的研究として期待感のある研究もありました。申請内容を詳しく審査すると、確実かつ堅実な研究がほとんどでした。逆にいえば、堅実なゆえに、独創性等に欠けるというところもあります。研究内容を綿密に計画することは大事ですが、「新規性」「独創性」「将来性」に富み、「その分野の活性化に寄与できる」研究であることが望まれます。

申請書の書き方に改善と工夫を

本年度も、学校教育現場における授業研究・調査研究という枠組に閉じているものが多かったように思います。もちろん、それらを否定するわけではありませんが、本実践系では「第一線で活躍する専門的立場にある者を対象」にしており、「ますます多様化・複雑化する社会が生み出す新しい課題に向かって果敢にチャレンジし新しく途を開くような研究」という助成趣旨の観点からすれば、より広く地域的・社会的・現代的な文脈に即した申請が増えてほしいところです。
研究課題名も審査対象のひとつとなっていますが、中には文章そのままが課題名として記載されている申請書も見受けられましたので、研究計画書を提出前に十分に検討したうえで申請することも重要です。課題名に限らず、申請の手引きを参照したり特記事項を再確認したりするなど、あらゆる工夫が必要です。

研究経費と申請内容の整合性を図ること

研究経費は研究計画にそった支出計画であることが大切です。しかも、支出予定の研究経費は片寄りが生じないよう考慮して欲しいところです。極端な例では、旅費のみや謝金のみ、消耗品のみの支出計画も見られました。支出計画については、調査先が遠方である場合、なぜそこで調査する必要があるのか、明確に記す必要があります。海外出張の旅費だけを申請するもの、機材購入だけの申請書など、研究計画と支出計画の整合性がとれていないものも見受けられました。研究期間が1年という限られた中で、新たに高額の機材やソフトウェアを購入しなければ研究できない内容でかつ新規に着手する研究計画や情報収集のための複数の学会出席のための経費は、研究の遂行上必要であることの説得力ある説明が欲しいところです。
また多額の書籍を計上している例が見られましたが、研究内容と図書との関連性や必要性、書籍名等が明記されていると研究の方向性が判りやすいでしょう。アルバイトの賃金や謝金などは、本人がどうしても対応できない場合に限ってのみ、予算計上して欲しいところです。

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