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プログラム

◆船上研修

<海を体感しよう>(*研修生全員が経験する)

1.水圧の威力を観る
 缶詰水圧実験:中身の入っていない缶詰を海中に沈め,形が変わる様子をビデオカメラで撮影し調べてみましょう。

2.青い海の観察
 水中ビデオを100mまで降ろし,海が青く見えることを観察してみましょう。

3. 満天の星空観察会
 陸から遠く離れた黒潮域で,晴れていれば,夜はきっと満天の星空が楽しめることでしょう。

4.深層水大循環水槽実験
 成層構造と深層水大循環:成層構造とはどんなこと? 暖かい表層水を冷やしたらどんなことが起こるのか,水槽実験をして観察してみましょう。また,深層水の大循環とその役割についても学んでみましょう。

5.プランクトン,小型遊泳動物の観察
 船上で採取したプランクトンや動物を顕微鏡で観察してみましょう。小さな生きものの美しい形に魅了されることでしょう。

6.東京湾-黒潮間航走観測結果発表会
 東京湾から相模湾を経由して黒潮域まで航行すると,表層水の水温や塩分,海中のプランクトン量,流れの方向や速さなどは大きく変化します。皆さんが航海した海はどのように変化していたのでしょうか,観測結果の速報によって実感してみましょう。

7.船内見学
 主に機関室を見学してみましょう。その力強さに圧倒されることでしょう。(ブリッジは気象観測時に見学します)



<海洋観測・試料採取>(*研修生が班に分かれて全員が体験する)

1.気象・海象
 気温・湿度,気圧,風向・風速,雲量・雲形,風浪・うねりを各種計測器や目視によって観測します。

2.CTD
 CTDとは,塩分,水温,水圧(深度がわかる)に加えて,溶存酸素と蛍光光度(クロロフィル量がわかる)の各センサーからなる観測機器のことです。このCTDセンサーと採水器(容量10リットル,24本)を組み合わせたものをCTD-採水装置と言います。この装置を海中に降ろしていくと,水温や塩分などの測定結果が船上のパソコン画面に連続して映し出されます。このようにして水温や塩分などを測定します。
 また,研究室からの指令によって採水器を作動させ,海水試料を採取することができます。採水層は10, 20, 30, 50, 75, 100, 150, 200, 300, 400, 500,・・・・2000mのように,水深に応じて適宜決めます。

3.採水
 CTD-採水装置によって各層ごとに採取された海水試料を,化学成分などの目的に応じて試料ビンに採取します。二酸化炭素,溶存酸素,栄養塩やクロロフィルの濃度を測定し,駿河湾沿岸水と黒潮域外洋水,表層水と深層水における分布の違いを調べましょう。

4.水色・照度観測
(1) フォーレル水色計を使って,海面の色を調べましょう。
(2) 透明度板(直径30cmの白色円板)をロープにつなげ,海中におろしながら目視によって白色板が見えなくなる深さをロープに記した目盛りで読み取ります。これを透明度といいます。
(3) 赤色板と青色板(直径30cmの各円板)を同様に海中におろし,赤色板と青色板が見えなくなる深さを読み取ります。3つの色の違う円板を用いて,可視光の波長と海水による吸収の関係を調べましょう。
(4) 水中照度計を海中に降ろして,可視光の波長毎に届く深さの違いを測定します。また,海の中の明るさの変化も測定します。

5.動植物プランクトン・小型遊泳動物採集
 稚魚ネットを用いて表層の生きものを採集します。また,ノルパックネットネットを深度150mから海面まで曳き上げて動植物プランクトンを採集します。大型ネットを深度500m,1000mと2000mまで降ろし,小型遊泳動物を採集します。大型ネット採集は駿河湾と黒潮域でそれぞれ1回行い,生息量の鉛直変化を調べましょう。

6.海底堆積物採取
 マルチプル採泥器を用いて海底堆積物を採取する。東京湾と相模湾の海底とで,海底堆積物の性状(色・粒度)の違い,底泥中に暮らす生きものの量や海水中を落下してきたプランクトンの遺骸を調べましょう。



<航走観測>(*主に連続観測装置による航走観測記録を持ち帰る)

1.気象・海象観測
 気温・湿度,気圧,風向・風速,日射量,海面水温を自動に記録します。それぞれの項目の変動を調べましょう。

2.XBT観測
 XBTとは,投げ込み式水温センサーと記録計からなる観測機器のことです。航走しながら水温センサーを投入して水温の鉛直分布を記録します。駿河湾と黒潮域の間でXBT観測を行い,水温の鉛直断面構造を調べます。

3.表面水温塩分観測
 海の表面の水温と塩分を航走しながら計測する測器をサーモサリノグラフといいます。この測器は,水温塩分の他,クロロフィルaも同時に計測できます。船底からポンプでくみ上げた表層海水をこの装置に導入すると,各成分の測定結果が1分毎に記録されます。駿河湾と黒潮域の往復の航路において,これらの成分の変動を調べましょう。

4.ADCP観測
 ADCPとは,航走中に船底から音波を発信し,海水中に漂っている微粒子に反射した音波を受信し,その音波周波数の変化(ドップラー効果)から海水の流向・流速を計測する観測機器のことです。ADCP観測によって黒潮の幅,流向,流速を調べましょう。



<化学分析>(*担当の陸上研修班が実施)

 陸上研修のために,船上で溶存酸素と栄養塩(ケイ酸塩,リン酸塩)を測定します。また,クロロフィルを測定するために,前処理として,船上で海水をろ過し,ろ紙を冷凍して持ち帰ります。これらの作業は陸上研修のテーマを選択した研修生が担当します。



◆陸上研修

1.海の上の天気 ― 温度調節をする海の役割
 私たちは暑いと汗をかいて体温の調節をします。海の温度調節は,太陽から熱を得て,天気の変化と共に,空気中への蒸発量を変えることによって行なわれています。望星丸は海上の天気の移り変わりを測定する洋上の気象台で,船上での観測体験と共に,天気図や衛星写真を参考にして,海が汗をかく量と天気の関係を調べてみましょう。

2.世界最大の海流 ― 黒潮の速さと海の構造
 日本南岸を西から東へ流れる黒潮は秒速1〜2メートルに達する世界で最も強い海流です。黒潮の沖側と陸側の海域では,水温や塩分がどのように変化しているのでしょうか?この流れは時々蛇行するので,カツオなどの魚の回遊ルートも大きく変わります。こうした黒潮の流れる速さと海の中の様子を調べてみましょう。

3.明るい海と暗い海 ― 青い海と藍の海
 太陽の光は植物プランクトンが生活するために不可欠な要素です。この光は様々な色を持っていますが,海中ではどんな色が見えるでしょうか?どこまで届いているのでしょうか?水中カメラを沈めて調べてみましょう。魚の色も深さによって特徴があるでしょうか?海の中の光とそこにすむ生きものとの関係を考えてみましょう。

4.小さいけれど力持ち ― 明るい海にすむ生産者
 海では1 mmにも満たない植物プランクトンが,海にすむ生きものの餌になっています。このプランクトンは,光が届くごく限られた深さに生活し,その死骸は暗い海の底へと沈んで行きます。内湾と外洋域で,植物プランクトンのすみかや海底の様子はどのように違うのでしょうか?光の届き方,植物プランクトンやその餌の量に違いはあるのでしょうか? 海の中をのぞいたり,植物プランクトンや海水を採取して調べてみましょう。

5.海は大きな化学プラント ― 暗い海は餌の再生工場
 太陽の光が届く海の中では,植物プランクトンが増えて動物に必要な酸素を生産しています。明るい海は,いわば海にすむほとんどの生きものの餌と酸素を作り出す巨大な化学プラントといえます。植物プランクトンにとっての餌は,どこから来るのでしょうか?光の届かない暗い海は,暗黒の世界なのでしょうか?内湾と外洋域で,明るい海から暗い海まで,海水を採取して調べてみましょう。

6.海は二酸化炭素の貯蔵庫 ― 海水の吸収力を測る
 大気の二酸化炭素(CO2)の濃度は年々増えています。海水にはCO2が溶けやすく,その濃度も次第に増加しています。一方,海から大気へのCO2の移動も起こっています。一体,海はどれだけのCO2を貯蔵しており,大気中のCO2が増えると,海はどう変化するのでしょうか?海の表層や深層で採取した海水を持ち帰り,CO2を吸収する能力がどれだけあるかを調べてみましょう。

7.表層の生物多様性 ―内湾と外洋域の比較
 海の生きものは,いたるところで生活しています。海の表面付近を漂う魚卵はふ化し,成長しながら黒潮に乗って移動し,内湾にも入ってきます。魚類以外にもどのような生きものがいるのか,どのような形や色をしているのかを,実際にネットを曳いて調べてみましょう。このことを,昼と夜の採集を通して確かめてみましょう。採集される生きものは,昼と夜では変わるでしょうか。

8.深海の生物多様性 ―内湾と外洋域の比較
 光の届かない海のなかには,どのような生き物がいるのでしょうか。光が十分に届く岸辺の生きものと縁もゆかりもない生き物はいるのでしょうか。このことを確かめるために,大型ネットを水深1000mまで下ろして生きものを採集します。採集場所や水深によってどのような生きものがいるのか,それらの形や色を調べてみましょう。

9.海底の生物多様性 ―閉鎖性湾と開放性湾の比較
 海底には,様々なものが降り積もり,それを餌として多様な生きものが暮らしています。これらの生きものをベントスといいます。これらはどの位の大きさで,どのような形をしているのでしょうか?またどの位いるのかを,閉鎖性の東京湾と開放性の相模湾の海底で比べてみると,どのような違いがあるのかを確かめてみましょう。



◆講師紹介
(敬称略・順不同)
講 師 所 属 等 専門分野
岸 道郎 北海道大学
大学院水産科学研究院 教授
海洋生態系モデル
加藤 義久 東海大学
海洋学部海洋科学科 教授
化学海洋学
澤本 彰三 東海大学
海洋研究所 教授
浮遊生物学
千賀 康弘 東海大学
海洋学部環境情報工学科 教授
生物光環境
轡田 邦夫 東海大学
海洋学部海洋科学科 教授
海洋気象学,海洋物理学
菊池 知彦 横浜国立大学
教育人間科学部自然環境講座 教授
生物海洋学,海洋プランクトン学,動物分類学
岩崎 望 高知大学
総合研究センター
海洋生物研究教育施設 准教授
動物分類・生態学
成田 尚史 東海大学
海洋学部海洋科学科 教授
化学海洋学
須賀 利雄 東北大学
大学院理学研究科 准教授
海洋物理学
鶴島 修夫 独立行政法人
産業技術総合研究所
環境管理技術研究部門 研究員
海洋化学


 
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