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採択情報・選考総評

2018年度数物・工学系総評

数物・工学系選考委員会委員長

1.全体の印象

  1. 数物・工学系の申請では、宇宙・天文学や素粒子論、物性物理学、材料工学、機械工学や電気・電子工学、建築・都市工学や土木工学、環境やエコロジーに関する研究など、その範囲も基礎研究から応用研究まで極めて多様でした。そこでは素粒子物理の中性微子質量、重力波の発見と続いたノーベル賞の受賞に新時代を画する契機として、標準理論を超えようと意欲に燃えている最も基礎の研究から、日常の生活に密着した住環境問題や障がい者支援の関連、原発関連、あるいは震災後の仮設住宅に関する研究など、また、その研究手法も計算機シミュレーションや素粒子の超微細構造解析、宇宙ロケットや天体観測、地球規模の解析、分子構造の解析や生命科学的な手法など、極めて多様性に富み、若手研究者・申請者が広範囲で研究活動を行っていることが示されていました。さらに社会の要請に対する貢献に強い意識を持った研究が多数ありました。
  2. それらの中には、素粒子・天文学の基礎となる実験的研究、惑星探査やロケットの機材開発に関わる研究、地球内部の調査に関わる研究、防災に関連した研究などでは、主にそれに対する大規模な研究組織、さらには流行の研究領域などの研究組織におけるビッグプロジェクト研究に関わる申請がなされていました。そこでは、国家が主導して行うべきと考えられているような研究が掲げられており、申請者が将来的に国の研究機関などで貢献する人材として大学や研究所などで養成されていること、また、大学と各研究機関の連携が進んでいることが背景にあると考えられます。それらの研究には複数の研究者の間での議論が重要で、歓迎すべき傾向です。しかし、その一方、それらの研究機関や研究組織所属の申請者への助成が本助成事業とどのように整合するか、すなわち、ここでは申請者の個性を発揮した積極的な工夫・研究に対して評価を行っていますが、申請者個人への支援と大きなプロジェクト研究との関わりをどう評価するか、選考に対して苦慮したところです。そこでは所属している研究機関等の研究活動の中にあったとしても、申請者自身がどのような過程からどのような着想に至ったのか、プロジェクト研究の中での役割や位置付け、貢献など、重要な判断材料として、より明瞭な記述が望まれます。このことは理論研究においても同様です。1つの研究グループから複数の申請が出されたケースでは、申請者それぞれは具体的なテーマと内容について個性的かつ独創的で目標も異なっている事は当然ですが、研究グループとの関わりや研究の位置づけ、指導体制など、明確に記載して下さい。また、学部生や大学院初年度生など、まだこれから研究を始めようとする段階での申請が複数みられましたが、推薦者の評価以外、依るすべがありません。萌芽性とはいえ、ある程度具体的な研究の進展が見えた段階で申請して欲しものです。
  3. 今回は、複数の先進国からの来日研究者からも申請がありました。それらの研究計画など具体的で説得力があり、一段と優れていました。また、癌の造影および治療のための複合ナノ粒子の開発という将来性のある課題に取り組み、論文を国際誌に発表しているというのも印象的でした。IoTとかドローンといった新しい技術の活用が研究課題や研究計画などの中に登場しました。総括として、全体的に研究計画などにおいて一層レベルが高くなったように感じます。申請が電子化されたことにより、記載の自由度が増したこともレベル向上に寄与しているのかもしれません。申請内容が条件を十分満たしながらも、不採用にせざるを得なかったものが多数あったことを付記しておきます。

2.研究経費について

  1. 研究予算の記述が相変わらず雑なものがありました。申請額の上限は100万円ですが、大雑把な目算で見積もるのではなく、研究計画と予算との具体的で緻密な整合性をもたせた算定をして下さい。これは研究計画の実現性に対する重要な判断材料です。研究上それらが真に必要なものか十分検討して欲しい問題です。
  2. 海外発表、打ち合わせ目的の海外渡航費などの申請も増えていますが、研究遂行との関連が希薄なものが見られました。選考委員会としては、助成金額の総額に制約があり1年単位でもあることから、研究そのものの助成を主とし、内外旅費等はあくまでも従とする立場です。成果発表のため国内外の旅費に研究費の半分以上を充てるというのは、本助成の意図とは異なります。
    なお本会には、成果が得られた本助成金研究者に対して、後年度に、海外発表旅費を助成する制度もあることを念頭に置いて下さい。
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