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採択情報・選考総評

2018年度実践系総評

実践系選考委員会委員長

 2018年度の実践系研究計画の選考結果を踏まえ、次年度の申請の際に参考にして頂きたい点について述べておきます。


 昨年同様、2018年度の実践研究部門は、実践研究A(学校、NPOなどに所属している方が社会的諸問題の解決に向けて行う実践研究)と実践研究B(博物館学芸員・図書館司書等の調査・研究)に分けて募集しました。研究助成の趣旨をよく理解した上で申請している計画書が見られた一方で、研究目的や課題設定が不明確で研究内容や方法等が十分吟味されていない計画や、学術研究と思われる申請もありました。どのように研究を進め、いかなる成果を出そうとしているのかが分かるように研究計画書を作成して頂きたいと思います。そうした観点から、幾つかの点について以下に指摘しておきますので、参考にしてください。


本年度の特徴
 私たちを取り巻く生活環境や社会には、様々な課題が内在しています。こうした諸課題を実践の場で解決しようと申請者たちの意欲が伝わってきます。「教育」、「市民参画」、「社会福祉」、「医療」、「地域づくり」、「文化財の次世代への継承」など、本年度の申請内容のテーマを概観しますと、今日我が国が抱えている多くの社会問題が浮かびあがってくるようです。ICTを活用した新たなサービスツールの開発や発達障害に関わる支援の手法を開発する研究も多く申請されました。

 具体的には、学童における感染予防教育や「性的虐待」をテーマとする研究、「児童館」を実践の場とした研究など、新規性のあるテーマが散見されました。また安価となった3Dプリンターや3Dスキャナーを用いて、博物館のハンズオン教材の開発や展示開発もありました。図書館界からも意欲的な申請が複数あり、国内ではまだ取り組み例がほとんどない近代点字図書の書誌的研究や、自動書架におけるIPM(総合的有害生物管理)調査研究に取り組むものもありました。こうしたIPMへの取り組みは博物館では既に10数年前から進められているものの、今後、図書館においても取り組む必要性は高くなるものと予想されます。こうした新しい課題に対して果敢に挑戦して頂きたいと期待しています。


研究内容の独自性・新規性を分かりやすく
 「実践研究部門」は、現代社会が抱える複雑な課題に対して解決を図る「問題解決型」の研究に対して助成しています。しかし、中にはその趣旨に必ずしも合致していない研究計画も見受けられました。実践研究Aの対象としているNPO法人等はその組織そのものが何らかの社会的課題の解決を目指す組織ですが、組織運営やその組織の本来業務の遂行のために助成するのではありません。また実践研究Bの対象としている博物館・図書館の中にも、館の運営費ではパソコンなどをはじめとする機材・機械類を購入する予算が新規につかないという背景もあるせいか、機材購入の目的に合わせて研究内容を記述するという本末転倒の申請もありました。

 もちろん申請内容を詳細に審査すると、確実かつ堅実な研究がほとんどですが、独創性等に欠けるというところもあります。この独創性や新規性を示すためには、先行研究や先行事例、関連研究を事前に調査し、何が問題となっていて、どこをどう改善すれば問題解決するのか、将来の見通しはどのようになっていくのか…ということを分かりやすく表現しなければなりません。「新規性」「独創性」「将来性」に富み、「その分野の活性化に寄与できる」研究であることを強く望みます。


申請書の書き方に改善と工夫を
 本実践系では「第一線で活躍する専門的立場にある者を対象」にしており、「ますます多様化・複雑化する社会が生み出す新しい課題に向かって果敢にチャレンジし新しく途を開くような研究」という助成趣旨の観点からすれば、より広く地域的・社会的・現代的な文脈に即した申請が増えて欲しいところです。

 研究課題名も審査対象のひとつとして判断材料のひとつと見なしていますが、中には長い文章そのままを課題名として記述している申請書も見受けられました。研究目的と研究の背景が全く同じ文章であったり、同じことを何度も繰り返し述べていたりするものも散見されます。申請書の書き方を工夫し、研究計画書を提出する前に十分に吟味し、かつ推敲したうえで提出することも重要です。そのためには、申請の手引きを怠ることなくきちんと参照したり、推薦者に申請内容の確認をお願いするなど、あらゆる準備が必要でしょう。


研究経費と申請内容の整合性を図ること
 研究経費は研究計画にそった支出計画であることが大前提です。しかも、支出予定の研究経費は片寄りが生じないよう考慮して欲しいところです。極端な例では、海外旅費だけを申請している計画、研究の進展に寄与するか不明な学会参加費・学会出張旅費が大幅に計上されている申請書も毎年のように見られます。

 研究期間が1年という限られた中で、新たに高額機材やソフトウェアを購入しなければ研究できない内容でかつ新規に着手する研究計画や情報収集のための複数の学会出席のための経費は、研究の遂行上必要であることの説得力ある説明が欲しいところです。研究計画と支出計画の整合性をとり、またアルバイトの賃金や外注費などは、本人がどうしても対応できない場合に限ってのみ、予算計上して欲しいところです。

 今回から電子申請を導入しましたが、実践系の研究助成では、やや申請件数が減少傾向となりました。今後とも複雑な社会課題に実践を通して問題解決を行う研究の申請をお待ちしております。

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