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公益財団法人 日本科学協会

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活用者からの声

中国の大学からの声 2004

※原文が日本語の声は、原文を尊重して手を加えず掲載しました。
原文が中国語の声は、原文に忠実に和訳して掲載しました。

日本語原文

清華大学 図書館 孟 艶華

 寄贈いただいた図書の中でも芸術関係の図書は、清華大学美術学院の教師にとって非常に参考になる図書として活用されております。その中の一部は専門科目の教育に直接関連性があるものであり、一部は資料として価値の高いものです。これらの芸術関係の図書は、日本の文化を理解するために非常に役立つものであり、利用者たちは直接の文化交流であると語っております。
 寄贈していただいた芸術関係の図書は、おおよそ下記のように分類することができ、美術学院教師の図書利用状況については、下記のようにご報告致します。

1. 芸術家の作品の絵画集
「島田正治墨画集」、「室越健美画集」、「金森宰司画集」、「松村公嗣画集」、「中堀慎治画集」、「上村淳之画集」、「大矢英雄画集」等は、現代日本の芸術家と芸術家達の作品を紹介しております。これらの作品を通じて、清華大学美術学院の教師は、日本の芸術家のそれぞれの芸術的な風格を理解することができます。例えば、島田正治の焦墨を主とする水墨画の風景と建築は、東方の水墨画に西洋のある種の造型手法を取り入れた作品です。金森宰司の油絵の誇張的な造型は、外国の景色と情緒を表現し、施されている色彩に異国情緒が溢れています。室越健美の作品は、現代的抽象主義の方法で世界を観察し感情を表現しています。大矢英雄の超写実主義の肖像画は、画家としての非常に高い技法で描写されており、彼の描く女性肖像画は非常に細緻です。中堀慎治の人物画は、女性の感情の機微がよく表現されております。上村淳之の密画で描写した鶏は、彼の自然や動物に対する優しい心情が表現されております。松村公嗣の作品は、とても幅広く奥の深いものです。奔放なチベット風景や人物にも細緻な人物や花鳥にも芸術の真髄が表現されております。これらの日本の芸術家の作品に具現されている彼らの勤勉さ、執着心、芸術を求める精神そして豊富多様な表現技法は、非常に貴重なものであり、世界のどの国の芸術家も学ばなければならないものだと思います。
  「目と手で楽しむ絵本集 絵本と遊ぼう」は、楽しく読書しているうちに児童の心理的成長に合わせて自然に知識が吸収できるという、風格多様で優れた児童図書です。日本の児童図書の著作者の素晴らしい功績に対して尊敬の思いが湧き起こり止まるところを知りません。

2. 芸術史、文物作品写真集
 寄贈図書の中でも芸術史と文物写真集には、非常に研究価値の高いものがあります。例えば「大英博物館古代エジプト展」は、古代エジプト並びに古代エジプトの貴重な芸術作品に関する詳細な資料を提供してくれました。「聖地 日光の至宝」は、日本における有数の仏教の聖地である日光山の古代建築、文物、神話、信仰の由来を余すことなく紹介しています。「大名茶人 松平不昧展」は、松平不昧の歴史・人物像を紹介していると共に、日本の茶道文化とそれぞれの歴史的な段階における経済、文化、芸術、民俗等を紹介しています。「HUDSONS HISTORIC HOUSES AND GARDENS」は、欧州における歴史上有名な建築と室内装飾を紹介しています。この本は観光ガイドブックですが、古代の欧州社会生活の真実を理解するためのガイドブックでもあり、芸術とデザインの歴史を理解するための直観的な教科書とも言えます。これらの本には美しい写真と詳細な説明文が掲載されており、美術学院の教師にとって講義の際の非常に貴重な参考書となっております。大学の芸術に関する専門教育において、世界各国の芸術の歴史と伝統に対する研究は非常に重要な側面であり、芸術家と芸術デザイナーにとって、歴史と伝統に関する堅実な基礎は重要な素養です。美術学院の教師達自身も、これらの基礎知識の蓄積を重視しています。従って、これらの良質な画集は、美術学院の教師達にとって非常に有益なものと言えます。
 その他にも「浮世絵今昔」は、世界的に有名な日本の浮世絵の歴史、製作技術、歴史の各時期における特徴、現代の浮世絵作品を紹介しています。「芸大美術館所蔵名品展」は、日本の古代画から現代の油絵、彫刻、古今の陶磁器、漆工芸、金属工芸、蝋染め等を紹介しています。これらの非常に専門的な内容は、清華大学美術学院の専攻方向とぴったりと合致しております。また、画集の細緻な絵画と解説文は、美術学院の教師の教学と研究にとって非常に参考となるものです。

3. 内容豊富な写真集
 写真集に類する本は、ジャンルが広範です。例えば、民間工芸、実用美術を紹介する「ARTESANIA POPULAR DE ESPANA」、日本独特の食文化を紹介する「新横浜ラーメン博物館」等の本、そして世界各国の国民が自然と闘いながらの生存している状況を映し出している「GREAT RIVERS OF THE WORLD 」、生活の中にある多くの感動的な瞬間を捉え展示している「Friends Japanese and Tennesseans」などがありますが、これらに収められている作品を目にするにつけ視野が広げられます。数多くの素晴らしい撮影作品は芸術性と鑑賞価値が非常に高く、これらの作品を通して見ることができる自然と社会生活の場面は、美術学院の教師の感覚的な世界を豊かにし、彼らの芸術的インスピレーションを高めてくれます。

4. 実用書
 「かこう英子手芸全科」「フラワー手芸百科」は、日常生活においてよく使われる手芸の技法を詳細に紹介しており、実用的な価値の高いものです。
芸術には、豊かな創造力が必要です。そのためには、いろいろな方面から十分な栄養を吸収しなければなりません。昨今のような高度に発達した情報化社会においても、美術学院の教師達は、文化的内容が充実し芸術的価値が高い書籍を依然として重視しています。
 そのため、清華大学の図書館を通じて貴協会に対して「是非、心からの感謝を伝えてほしい」と美術学院の教師達から依頼されています。良質な図書の寄贈、これらの図書を提供してくれる日本の団体と個人、これらの寄贈図書を滞りなく清華大学図書館まで届けるために苦労し、尽力された貴協会のすべての職員に感謝の意を表したいと思います。

南京大学 日本語専攻院生 劉 恋

 私の大学―南京大学には日本文化図書館という施設があります。これは文科楼の一階にあって、中日文化研究センターに附属しています。2001年12月7日創立して以来、2年4ヶ月が経過しましたが、利用者数は約2000人に達しているそうです。スペース的に余り広いとは言えませんが、書籍の保存環境がよく管理システムがネットワーク化されているため、日本の資料や文献などを調べるのには大変便利です。図書を管理される方も真面目でとても親切に対応してくれるので、我々、南京大学の学内は言うに及ばず学外の利用者にもとても高い評価を得ております。
 南京大学にはもともと規模の大きな図書館があって、そちらの方が面積も広く蔵書も多いのですが、日本に関する資料や文献が余り多くなく、日本語の図書と中国語の図書が分類されずに一緒に配架されているため、利用しにくく、私のように日本文化を勉強・研究している者にとっては少々もの足りない気がしておりました。ですから、日本文化図書館という専門の図書館ができたことで、私たちは本当にとても助かっております。日本文化図書館の蔵書も既に2万冊を越え、その数は順調に増え続けているところです。大学の購入書籍はもとより、日本の友人の方々からの協力については、決して忘れてはならないことだと思っております。日本科学協会、国際交流基金、東京大学、京都仏教大学、講談社を始めとするたくさんの大学や友好団体が定期的に或いは不定期に大量の書籍を寄贈してくださいました。
 日本文化図書館の蔵書は数が多いばかりでなく、関わる分野が歴史・政治・文学・経済・社会・哲学・宗教などと多岐に亘り、古い時代のものから新しい時代のものまで揃っています。これは、私たち利用者にはとてもありがたいことです。また、日本文化図書館には、現在、世界中で大きな関心を集めているホット・ポイントに関する書籍もたくさんあります。例えば、グローバリゼーションにおける環境問題や老人問題などです。今、私は南京大学日本語学科で修士課程の勉強をしていますが、大学の四年間も同じ学科で過ごしました。学部時代、卒論の執筆に励んでいた頃、日本の高齢化問題について資料を調べるために、よくこの図書館で本を借りていました。現在は、文学史・文学鑑賞・日本文化概論や日本史などの講義のレポート準備のために、また論文の素材を探すために、この図書館を利用しています。普通では入手できないような資料でもこの図書館に来れば、入手できることも少なくないからです。

江南大学 図書館

 当図書館は、対外文化交流を重視しております。文献資源の共有については多くの機関との間で安定的な交流関係を確立しており、また、人類知識の共有と文献資源の相互利用等についても他の図書館と協力し幅広く学術研究を進めるなど、大いに取り組んでいるところです。近年、幾つかの機関と海外の友人のサポートを得て、アジア基金会、中米の架け橋、日本科学協会等の機関からの図書も受贈しています。特に、2000年以来、9回にも亘って寄贈してくださった日本科学協会からの図書とジャーナルは、合計で35,700冊以上にも達します。これらの図書とジャーナルは、様々な分野に亘り内容も充実しています。中には、最近出版されたばかりの学術的価値が高い図書やジャーナルも含まれており、総合大学である我が大学の各学科の教師や学生に喜ばれております。
 寄贈図書の利用状況は下記のとおりです。
 「Science」、「Nature」、「Chemistry Letters」、「Analytical Chemistry」、「Langmuir」、「Cell」、「The Journal of Biological Chemistry」、「Journal of Molecular Biology」、「Microbiology」、「Journal of Bacteriology」等、多くのジャーナルが閲覧室に開架され、多くの利用者に愛読されています。これらの利用率はかなり高く、これらを頻繁に利用する固定の読者群が既に形成されております。
 「毎日新聞」、「朝日新聞」、「日本経済新聞」の三大新聞の縮刷版は、中国国内の教師と学生にとって、最近の日本社会の状況を理解し、また、日本の社会、文化、経済の発展を研究するための参考文献として価値の高い資料であります。
 社会科学関係の図書、語学関係の図書は、特に日本語を専攻している学生にとって役立つものであり、日本語に関する書籍は日本語を熱心に勉強している学生には特に喜ばれております。
 より多くの教師、学生が日本語版の文献を理解し利用するようになるように、図書館は「日本語文献の検索と利用」と題して数回に亘るシリーズ講座を開設しました。同講座には、教師、博士課程及び修士課程の学生そして学部の学生が参加しました。彼らの日本語を勉強する意欲は非常に高く、日本語版の図書とジャーナルに対する需要も高まっています。「日中友好団体の文化交流のルートを通じて、研究のために必要な文献をより多く獲得して欲しい。」と彼らは語っています。

吉林大学 図書館

 日本科学協会からの寄贈図書は閲覧に供されて以来、幅広い利用者層から注目を集めております。吉林大学北東アジア研究院には、日本問題を研究している教師、博士課程と修士課程の学生、さらに、外国語学院と経済管理学院とその他の学院(学部)の専門家、学者、学生達がおりますが、彼らが貴協会の寄贈図書とジャーナルの主な利用者です。
 吉林大学で日本問題を研究している学者達は、近年、国家レベル、省(部)レベルでの研究課題に取り組んでいるところであるため、文化という視点から問題の実質を追究する傾向にあり、寄贈図書の中でも文化関係の図書とジャーナルは、特によく読まれております。具体的には「文化と伝統」、「文化批判としての人類学」、「型の日本文化」、「比較文化」、「日本と東洋文化」、「罪と罰の法文化史」、「文化の新しい歴史学」、「歴史・文化・表象」などですが、これらの利用率はかなり高いものであります。
 政治、法律関係の図書とジャーナルについても、比較的大きな需要があります。吉林大学の研究者達は、日本の社会思想、時代的理念、大衆心理、民族感情等におけるここ十数年来の変化に対して濃厚な興味を持っております。冷戦後における与野党をはじめ、各政治勢力の台頭と衰退、分化、再編、交替を含む日本の政治体制の変化に注目していると共に、日本の政局の動揺、将来の発展方向、小泉内閣の政治改革のプロセス、日本の国際関係と国際戦略、中日関係のホット・ポイント等にも強い関心を示しています。寄贈図書の中でも特によく読まれているのは、「大国の興亡」、「日本人の国際化」、「誤解される日本人」、「日本人の論点」、「日本存亡のとき」、「日米関係のグローバリゼーション-協力と摩擦の構図」、「アジアはどう変わるか」、「文明の帝国」、「アジア新潮流」、「近代日本の政治文化と象徴」、「北東アジアの新風-環日本海新時代の原点をさぐる」、「日本人の選挙行動」、「日本人の可能性と限界」、「日本官僚事情」、「現代行政と官僚制度」、「市民生活と自治体責任」、「市民文化と文化行政」、「北東における日本と中国」、「海洋島嶼国家の原像」、「太平洋の世紀」、「国際化時代に生きる日本人」、「2000年の世界と日本」、「小泉純一郎と田中真紀子」、「2001繁栄の選択 衰退の行方」、「アジア太平洋共同体」、「アジアの時代-日本の孤立は避けられる」、「冷戦後の世界と日本」、「アジアの安全保障 80-90年」、「日本-その姿と心」、「日本のアイデンティティ-西洋でも東洋でもない日本」等です。
 日本経済に関する研究課題は、従来から吉林大学の研究活動の重点であり、優先性を持つ学科の一つです。以前から学者達の関心を引き続けて衰えることのない課題は、20世紀1990年代の日本経済の停滞、近年の蘇生、産業のレベル・アップと産業移転、ビッグ・バン、環渤海経済圏、東亜経済の一体化、日本とASEANのFTA、中日間の貿易摩擦と知的所有権の保護等です。これらの研究によく利用されている図書は、「日本企業のアジア戦略」、「アジア太平洋新論」、「アジアの発展とリスク」、「21世紀、中小企業はどうなるか」、「東アジアの奇跡-経済成長と政府の役割」、「人間化の経営学」、「日本の企業システム」、「21世紀型企業」、「アジア経済論」、「ベンチャー経営の基本戦略」、「アジアの財閥と企業」、「東アジアの構造調整」、「東アジアの国際交流と経済発展」、「日本経済の大逆流-円安と金融破綻が襲う」等です。
 社会科学研究は従来から吉林大学の重点領域の一つであります。寄贈図書に含まれる社会学に関する図書は、比較的範囲が広いと言えます。中でも、社会発展、社会構造、社会生活、社会問題、管理学、人口老齢化、社会保険と社会福祉、資源と環境、都市と農村等のジャンルには、かなり多くの利用者がおります。利用率の高い図書は、「人類の滅亡と文明の崩壊の回避」、「日本人口の転換構造」、「現代の人口問題」、「人口都市化の理論と分析」、「新しい都市経営の方向」、「明日の都市」、「都市経営論・序説」、「都市への警告」、「現代大都市の問題」、「日本の都市政策」、「国際化時代の都市と農村」、「現代都市論」、「都市の精神」、「人口流動の地域構造」、「町内会と地域集団」、「アジアの地域と社会」、「地球都市」、「人間と都市環境」、「地球は復讐する」、「破滅予測の限界」、「未来地球からのソール」、「当世もののけ生態学」等です。
 語学関係の図書とジャーナルは、外国語学院、文学院の語学専門の教師と学生によく読まれております。ただ、この分野のものは、他の分野と比較して量的に不足しているという状態です。
文学類の図書とジャーナルの利用者は、主に外国語を専攻している学部生ですが、文科系、理科系の学生にも外国語専攻の学生と同じくらいレベルの高い学生もおり、彼らもよく利用しております。
 自然科学関係の図書とジャーナルの利用者は、主に理科系各学院(学部)の教師と学生です。とりわけ、コンピュータ、ネットワーク、通信、電子、生命科学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、新材料等を含むフロンティア学科、ハイテクノロジー・ニューテクノロジー、先端技術に関する図書とジャーナルは多くの教師や学生に愛読されております。

吉林大学 東北アジア研究院 教授 世界経済研究所所長 経済学博士 厖 徳良

 吉林大学図書館に寄贈してくださった日本語版の図書は、非常に参考価値があり、私の教学と研究に大いに役に立っております。
 私が書いた『現代日本企業財産権――日本の「社会主義」の経済学分析』(中国社会科学出版社,2001年8月)という本、そして他の論文の執筆中に寄贈してくださった図書は、とても参考になりました。

大連外国語学院 図書館

 当図書館は日本語学院の教育・研究の展開に応じて、学生の日本語のレベルを高めるために、ここ数年、日本語の専門書の購入に力を入れて参りました。現在、日本語の専門書の蔵書数は87,420冊です。日本科学協会以外の日本の各友好団体からの援助によるものもありますが、多くは日本科学協会からの寄贈によるものです。これまでに同協会からは2003年末迄で累計85,356冊の寄贈を受け、2004年には17万冊を寄贈していただく計画となっております。これらの図書がカバーする分野は広く、政治、経済、文化、科学、体育、医療等に関する図書が含まれており、当図書館の日本語蔵書の内容を豊かにし、広く教師、学生に歓迎されております。
 当学院には各レベルの責任者がおりますが、それぞれが日本からの寄贈図書を非常に重視しており、寄贈図書の整理に当たっては、日本語の分かる専業の図書目録の編集員を配置して対応しております。現在、当館は中国の全国高等教育文献保障システム(CALIS)の日本語の連合目録編集の一員であり、日本の国立情報学研究所のデータ・ベースを直接利用しているので、図書目録の質と量が充実し、編集作業も迅速化されました。整理した寄贈図書については、寄贈図書専用の閲覧室を設け、開架式で教師、学生に広く閲覧されております。これらの図書は教師の研究、学生の論文作成と読解力の向上、知識の蓄積の面で重要な役割を果たしております。
 2006年には新キャンパスに3万平方の図書館を建設して「日本民族文化村」を設置し、寄贈図書専用の閲覧室を設ける予定です。今後、日本語の図書は必ずや当学院の図書館の文献資料の拡充、教育、研究において益々重要な役割を果たしてくれるものと確信いたしております。

広西師範大学 図書館 「日本文化資料庫」

 「日本文化資料庫」(日本文化データ・ベース)の設立とオープン以来、一年以上が経過しました。この「日本文化資料庫」の利用者も徐々に増えております。具体的には、2003年3月、4月、5月の3ヶ月間の図書の貸出数は65冊、入館利用者数は延246人です。2004年3月の1ヶ月間の図書の貸出数は401冊、入館利用者数は延425人です。
 貴協会からの寄贈図書の利用者は、主に日本語学部の教師と学生そして日本語を選択する大学院生などです。これらの図書と資料は、彼らの教学、研究、勉強、仕事にとって非常に役立つものとなっております。この一年間における寄贈図書の利用効果は、利用者の中に徐々に、しかし確実に現れつつあります。その一端を紹介すると、下記のとおりになります。

1.  2003年12月に実施された日本語能力試験(1級)について、2000年入学の日本語学部の学生の合格率は61%でした。合格者の一人である鄧燁燁は、総得点363点で西南試験区第6位の成績を取得しました。また、鄧燁燁と林燕燕は「日本文化資料庫」の熱心な利用者であり、図書と資料の貸出しが最も多い学生であり、「日本文化資料庫」の業務を手伝ってくれるボランティアでもあります。今年、鄧燁燁と林燕燕は、それぞれ広州外国語大学と北京第二外国語大学の大学院の日本語学科に進学しました。「寄贈図書は大いに参考になった。」と二人は共に語っております

2.  現在、日本語学部の第1回卒業生(2000年入学)33人の卒業論文はほぼ完成しておりますが、そのうち寄贈図書を参考にした学生は21人で、全体の64%を占めております。「寄贈図書は卒業論文に非常に役に立った。」と学生たちは異口同音に語っています。

3.  2004年4月24日に開催された「第1回 大学日本語講演コンクール(桂林)」において、当大学日本語学部3年生(2001年入学)の梁謙は高学年の部で第2位、2年生(2002年入学)の莫暁欣は低学年の部で第1位、何江水、李佩琦、石暁鈴の3名は低学年の部で第3位を獲得いたしました。彼らの講演にも寄贈図書の役割と影響が反映されております。  ただ残念なことに、中には発行年が古く時代性に欠ける図書もあり、「日本の社会、政治動向、経済発展、文化教育、科学研究、国民生活等に関して、時代に即した新しい図書・資料が欲しい。」との利用者からの声もあります。

広西師範大学 東方言語学部 日本語科卒業生 鄧 燁樺(添付1)

卒論のテーマ:授受動詞の検討
参考文献:
(1) 森田 良行 『日本語の表現』 創林社 1983
(2) 富田 隆行 『基礎表現50とその教え方』 凡人社 1993
(3) 森田 良行 『 日本語表現文型』 アルク
(4) 坂川山 輝夫&白沢 節子 『敬語の使い方』 日本実業出版社 1992
ほかには
 『留学生と見た日本語』 『外国人の疑問に答える日本語ノート』
 『日本語と中国語』 『社会の中の日本語』 『外国語としての日本語』
『日本語を外国人に教える日本人の本』 『日本語はおもしろい』 『言葉遣い』
『日本語セミナー』『天声人語』 『日本人の心のゆくえ』 『職業と人生』
『百戦百勝』 『霧の旗』 『打たれ強く生きる』 『壷井栄童話集』
 といった本も読みましたが、ほとんどは言語、文学、文化と社会事情に関する本です。これらのような本はとくに役に立ったと思っております。お蔭様で、去年の日本語能力試験(1級)では363点の成績をあげることができました。誠にありがとうございました。お手数ですが、これからもご寄贈下さいますようお願い致します。

広西師範大学 東方言語学部 日本語科 4年生 蒋 躍玲(添付2)

卒論のテーマ:現代日本企業における女性地位について
参考文献:
1、 労働者『女性労働者の雇用管理に関する調査』1981年
2、 女性学研究会編 『女のいま 講座 女性学2』 勁草書房 1990年160頁
3、 『世界大百科事典』平凡社 1996年 (5)574頁
4、 竹中恵美子『 女性の論のフロンティア 平等から衡平』 創元社 1995年 99項
5、 ワーキングウーマン研究所総合研究会編『 女性総合職300人の体験 手記』日本生産性本部 1993年 22項
6、 馬場房子『働く女性の心理学』白桃書房 1996年 112項
7、 総理府編 『女性の労働と施策』 大蔵省印刷局発行 平成15年 74項
8、 労働科学研究所『労働の科学』 1984年(5)第69巻 17項
9、 日本BPW連合会編『 女性が輝く時代』平成9年 60〜62項

広西師範大学 東方言語学部 日本語科4年生 張 璐艶(添付3)

 わたくしは日本語学部の4年生です。最近、卒論準備のため、寄贈してくださった図書を何冊も利用しました。卒論のテーマは 「漢語が中国人の日本語学習者にあたえる影響」 です。主に小学館の「学習百科事典⑦国語と文学」、旺文社の「国語辞典」 、三省堂の「新明解国語辞典」、徳間書店の「日本語と中国語」 を利用しました。いうまでもなく、わたくしにとってこれらが「助け舟」であると思われます。この書籍があるために、卒論の執筆は順調に進んでおります。ここで心から日本の友人の方々に感謝の意を表します。

広西師範大学 東方言語学部 日本語科 4年生 謝 芳(添付4)

 私は広西師範大学日本語科四年生の謝芳でございます。 卒論―「男は外、女は内」から「夫婦分担への転換について」-をまとめている時に、寄贈してくださった図書の中から、「働く女性の心理学」(馬場房子著)、「婦人の生活と意識-国際比較調査結果報告書」(総理府婦人問題担当室監修)、「女性の現状と施策」(総理府編集)を利用しました。これらの本は私の卒論に役に立っております。誠に有難く心から感謝の意を表します。

広西師範大学 東方言語学部 日本語科 3年  梁 謙(添付5)

 私は広西師範大学日本語科三年に在学する者です。この三年間、日本の友人から寄贈していただいた図書を通じて日本に関する文学、歴史、経済貿易、科学技術など様々な分野の幅広い知識を身に付けることができ、本当に得ることが多いと感じております。
 日本語を勉強するには、単に語彙、文法を身につけるだけでは充分ではなく、もっと日本の文化に関するいろいろなことを深く理解しなければならないと思います。たくさんの日本の図書を読むことができるというのが私たちの希望です。 選択科目の小論文を書く時でも、説明文だけでは良い論文になりません。さらに関係のある本を読んだり、統計的な数字を参考文献などで調べたりすることにより、内容は密度の濃いものになりますので、小論文の参考として日本文化に関する資料をよく利用しております。
 去年 日本語能力試験1級を受けるため、資料室の中央公論社によって出版された「日本の歴史」や、中山庸子さんの「夢ノートのつくりかた」 などのたくさんの本を読みましたが、お蔭様で読解力がつき試験に合格することができました。
 先週、我が学部を代表して桂林市の大学スピーチコンテストに参加し、二等賞をいただきましたが、これも資料室のお蔭であると思っております。いろいろな本、例えば、佐々木瑞枝の「留学生と見た日本語」、安藤彦太郎の「中国語と近代日本」 などの本を読むことにより、スピーチの内容を豊かにすることができました。

広西師範大学 東方言語学部 日本語科 2年生 何 江水(添付6)

 私は、「5円とお御縁」というテーマで桂林市第14回日本語スピーチコンテストに参加しました。スピーチコンテストで発表した「五円と御縁」という文章は、日本資料館でいろいろな資料を探し、それらを参考しながら書いたものです。
 最初、別冊太陽の「手紙」の本、「手紙の書き方」「日本史資料」「新明解国語辞典」などを読んで、スピーチコンテストのテーマは「私と日本」にしようと思っておりましたが、別冊太陽の本の中には日本語の「五円」の発音は「御縁」と同じであると書いてあったので、これをヒントにまた、日本の友達のことを思い出して、「 五円と御縁」というテーマに変更しました。お蔭様で、低学年の組で三等賞を獲得することができました。

寧波大学 外国語学院 日本語学部 4年生 徐 萍

 貴協会をはじめて知ったのは2年前でした。貴協会が本を寄贈してくださったそうで、寄贈図書の目録編集のために書名などの翻訳ボランティアの募集があって、早速、私も応募したのです。お蔭様でいろいろな本に出会うことができ、本の書名等を興味深く翻訳することができました。とても新鮮な思いでした。2年間のボランティアでしたが、本当にいい経験になりました。特に、大学院の試験準備と卒業論文を書く時には、とても役立ちました。試験準備のために、日本の歴史、国語、文学などに関する様々な本を読みました。お蔭様で、知識が豊かになったばかりでなく、視野も随分と広がりました。
 卒業論文を書く時も同じでした。私の専門は日本語言語文学ですが、多くの学生と同様に、卒業論文のテーマを決める時、寄贈図書のお蔭で日本の経済、社会、文化などのあらゆる方面に目を向けることができました。
 私が日本語言語文学専攻を選んだのは、日本語という言語を通じて日本についてもっと知りたいと思ったからです。貴協会のお蔭で思う存分勉強に励むことができました。これからも、良質な本を更に寄贈してくださるよう期待しております。後輩たちもきっと歓迎することでしょう。
 日本の図書をたくさん寄贈してくださったことに、深く感謝しております。「感謝」は社交辞令ではありません。私たちにとって非常に役に立っている貴協会からの友好に対して感じた心からのお礼です。
 寄贈図書の分野は広範で、内容も充実しております。日本の著名な学者(福沢諭吉、柳田国男等)の優れた著作もあれば、ペット、囲碁、インテリアなどの趣味的な面を養成する実用書もあります。それぞれの需要に応じて適切な本を読むことができるので、皆に喜ばれています。ですから、私は全ての受益者を代表してこの感謝状を書いているのです。 私たちのために日本についての勉強・研究の道を広げてくださったこと、中日友好交流に貢献してくださったことに対しまして、改めて感謝の意を表します。

長春師範学院日本語科 四年生 王涛

 我が学院の日本語図書室落成に際して、いろいろな書籍を頂き、誠にありがとうございます。
 今、この図書室は多くの学生たちに利用されており、日本語の勉強に大変役立っております。ご寄贈の本は扱っている題材の範囲が広く内容も充実しているとともに、深く歴史を遡って日本の社会をいろいろな方面から描いている書籍が揃っています。これらを読むことにより、学生たちは語学能力を高めると同時に、日本の歴史や文化などについても理解することになります。このことは、学生にとって必ず勉強になることと信じております。
 けれども、ただ一つ残念なことがあります。現在の日本を紹介する本があまり多くありません。やはり、私たちは、今日の日本についてもっと知りたいのです。現代の日本の社会、日本人の考え方、政治、経済など多方面のことをもっと知りたいと思っているのです。こうした私たちの希望を叶えてくれる本をいただければ、ありがたいと存じます。

長春師範学院日本語科 四年生 姚健美

 私は中国で日本語を勉強する大学生として、日本語の原文の本を読みたいと思っておりますが、多くの本を買うことはできません。これは残念なことです。ですから、我が大学に日本の本を贈ってくてることで、貴協会が果たす役割にはとても大きなものがあります。寄贈図書の中には、やさしくて面白い本もありますし、著名作家の作品もあります。それから、学術の専門書もあります。本当に豊富だと言えます。特に私の場合、大学院の入試準備の時に、大いに役立ちました。また、卒業論文を書いた時も多くの資料を調べることができました。大学院に入ってからは、芥川龍之介について研究したいと思っております。私は寄贈図書の中から、芥川龍之介について多くの本を探し出し、それらをじっくり読むことによって、芥川についていろいろ詳しく知ることができました。これからも、これらの寄贈図書を充分に利用して、日本語を勉強したいと思っております。
 最後に図書の寄贈にご尽力の方々に深く感謝申し上げます。

長春師範学院日本語科 三年生 解得道

 「小論文 作文」という本は、内容が易しくとても分かりやすいものでした。作文の書き方とか、書く際の着眼点とか、いろいろな例が掲載されているのでとても勉強になりました。
 日本語の初心者にとって、読み物は易しければ易しいほど良いと思います。それから後に、徐々に読み難い本も読んでいくことにより、自分の知識を豊かにし自分の能力も益々高めることができると思うのです。
 これからも、もっと多くの易しい本を読みたいと思っております。もし、現代の日本の生活に関する本があれば、とてもありがたいと思います。

長春師範学院日本語科 三年生 王崔余

 寄贈図書の中から、金田一春彦先生の随筆『自然と人生』という本を借りて読みました。優れた言語学者としての業績と研究精神が分かりました。特に研究に必要な文献でも入手困難な文献については、一冊丸ごと書き写したこと、また、方言を研究するために、地方から地方へ自らの足で調べに行ったことに、本当に感心しました。金田一先生の「忘れがたき」という本は自分の先生や友達に対する回想で、その時代の日本の学生や学者の生活や研究について少し理解できたような気がします。この本を通して、この学者の学説や著作にもさらに興味が湧き、日本語も一層好きになりました。そして、先生の自然で心優しい言葉から人生の生き方についてもいろいろ学ぶことができました。
 中国では日本の本や日本語で書かれた本は少ないので、これまで日本の本を読む機会は本当に少なかったのです。寄贈図書の中には、日本の歴史、文化、文学などいろいろな方面の本があり、私どもの勉強に本当に役に立てております。今後、これらの本を充分に利用して、どんどん読んでいこうと思います。

長春師範学院日本語科 3年生 段雯雯

 私は寄贈図書を活用して日本の歌舞伎と中国の京劇と比較してみました。特に、藤波隆之の「歌舞伎の世界」という本は非常に参考になりました。お陰で次のことがよく分かるようになりました。
 歌舞伎は江戸時代初期に生まれ、江戸時代中期に完成し、日本の代表的な庶民演劇です。京劇も歌舞伎と同じく中国の代表的な伝統的な芸術だといわれています。歌舞伎と京劇は、相似点がありますが、いろいろな方面において相違点を持っています。
 まず、相似点についてのことを述べてみましょう。両者は都市と生活に不可欠な文化として庶民の娯楽となっています。歌舞伎の題材は古典や伝説などに基づいた時代物、生活に取材した世話物、舞踊を主とした所作事など、多方面にわたっています。理念には、忠孝、義理人情など道義が中心となっており、一般市民には勧善懲悪の道徳教育の役割も果たしています。京劇は一般に歴史的小説や民間的な物語などを借りて、それを芸術化し、庶民に娯楽を与えるものです。勧善懲悪という道徳教育の精神にも溢れています。両方とも仏教に影響されているという特徴が見られます。
 演劇としての性格からいえば、歌舞伎は音楽劇で舞踊劇です。京劇にも伴奏する楽器は不可欠なものです。
 しかし、近代に入って、テレビ、コンピュータ、映画などの娯楽の興隆は、歌舞伎、京劇に激しい打撃を与えました。こうした伝統的な演劇は不利な立場に陥りました。演劇の内容にしても、俳優にしても、さまざまな方面の改善が必要です。一番重要なのは、それを楽しむ若者を養成することだと思います。
 相違点については、次の2点を挙げることができると思います。
 一つは、歌舞伎は女優を使わず、女形と称する男優が女性の役割を務めるという習慣があります。これには日本では女性が表に出てはいけないという古い意識との関わりがあるのだろうと思います。京劇は、男でも、女でも、どちらでも務めることができます。俳優の演技は大切にする傾向があります。でも、男は女に扮することもあります。
 もう一つは、歌舞伎の役者の家は世襲制で、現在も市川家、尾上家、市村家など、親子代々歌舞伎役者が続いています。京劇はそれに対して、いくつか流派に分けられていますが、世襲制を採用しておらず、能力さえあれば、有名な役者になることができます。 実は、両者についての特徴はまだまだたくさんあるのですが、これからもっとたくさんの寄贈図書を読んでそれらを勉強していこうと思っております。

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