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なぜ「人間の生命科学」テキストを制作したか

生命科学の知識は、現在社会に生きるための基礎知識です

生命科学の基礎知識が、
常識になる時代に向けて

大島 美恵子
公益財団法人
日本科学協会会長
大島 美恵子

生命現象の解明が急速に進む中で、生命科学の新知見はすぐに技術として応用されて、日常生活に直接結びつくようになった。すなわち生命科学の基礎知識が、直ちに常識として一般市民に要求される時代の到来である。

公益財団法人日本科学協会は、すでに成人した社会人たち、現在勉強中の高校生や専門学校生、短期大学生、大学生 その中でも特に理系教科になじみが無かった文科系学生を対象に 「わかりやすくて、面白くて、読んでためになる生命科学テキスト」を電子図書として作成することにした。
理科嫌いで化学構造や反応式や代謝マップなどを敬遠してきた人たちにも理解しやすい言葉で説明し、もっと詳細な情報が必要な場合は、キーワードを使ってweb上で正確な情報を検索できるしくみをめざした。

私たち生命科学テキスト制作委員会は、現代社会が求める「生命科学」とは既存の学問領域である生物学、生化学、栄養学、分子生物学、生物物理学などの分野の枠を超えた総合的学問であり、それはすべての日本人に必須の基礎知識だと考えているからである。

本書は、一般の方々や大学、短期大学の教養課程での学習だけではなくて 必要な部分を抜き出して、生物系科目を専攻する、家政・看護・介護・保育・福祉・教育・栄養・バイオテクノロジーなどの分野の大学・短期大学・専門学校の副読本としても利用することができる。

多くの方々が本書を活用し、生命科学について正しい知識を持ってくださることを祈っている。

生命科学は、なぜ重要か?

八杉 貞雄

テキスト制作委員長

首都大学東京名誉教授
八杉 貞雄

毎日のようにメディアで報じられる健康や病気に関するニュース、そして「特保」などに代表される健康食品の広告。
それらを正しく把握し、必要な情報を得るためには、そこに登場する生命科学用語を正確に理解しなければならない。

iPS細胞とはなにか、地球温暖化は生態系にどのような影響を与えるのか、コラーゲンは本当に美容にいいのか、これらの報道・広告をうのみにするのではなく、自らの知識と推論に基づいて自分なりの考えを築くためには、生命科学の基礎的内容を知っておく必要がある。

本書にはこれらの問題に関するヒントがそこここにちりばめられている。

21世紀は「生物学の世紀」であるといわれる。

この十数年の間に急速に発展したゲノム編集(遺伝子操作)によって、人間は生物の性質に直接改変を施すことが、できるようになったからである。
これは病気の治療や食物の増産など 広い範囲の分野で人間の福祉に貢献することが期待されている。一方ではそのような改変が大きな災禍をもたらす可能性も常に指摘されている。

ゲノム編集をどのように用いるかは 生物学者だけが関心を持つことではなく、すべての社会人が自分の意見をもち それを積極的に発信できるようにすることが必要である。

本書は、主としてこれから社会に出て、いろいろな立場で健康、病気、環境保全などに携わるであろう若い方々に 生命科学の基礎的知識を提供する目的で編集された。

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